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経営・組織

「応募が面倒」を、全部なくした。採用フローを一日で作り直した話

2026年6月7日11分で読める
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「応募が面倒」を、全部なくした。採用フローを一日で作り直した話

応募ボタンを押す前に、そっとページを閉じたことはありませんか。

履歴書を用意して、職歴を一から打ち込んで、長い志望動機を書かされて――。応募という行為は、いつのまにか「本気の人だけが越えられる障害物競走」になっています。けれど、その障害物の高さは、応募者の能力とは何の関係もありません。むしろ、面倒なフォームほど、丁寧で誠実な人ほど時間をかけてしまい、忙しい優秀な人ほど途中で離脱していきます。これは、採る側にとっても不幸な構造です。

私たち IIWAYO.TECH は、自社の採用フローをこの目で見直し、一日かけて作り直しました。目的はただ一つ、「応募が面倒だから」という理由で出会いを失うのをやめること。この記事では、応募する方の体験がどう変わったのか、そしてその一つひとつの変更に、私たちがどんな考えを込めたのかをお伝えします。

この記事は「採用システムを一日で作り直した取り組み」を3つの立場で書いた、3部作の1本です。

履歴書をアップロードするだけ。項目は、自動で埋まる

新しい応募フローでまず変えたのは、「入力」そのものをできる限り消すことでした。

考えてみれば、応募者の情報はすでに履歴書という一枚にまとまっています。それなのに、同じ内容をフォームの空欄に一文字ずつ打ち直させるのは、二度手間以外の何物でもありません。私たちは、その二度手間をなくすことから始めました。

お手元の履歴書や職務経歴書をアップロードしていただくと、その内容を自動で読み取り、氏名・学歴・職務経歴といった項目を、フォームにあらかじめ入れておきます。あなたがやることは、空いているところを確認して、必要なら直すだけ。ゼロから打ち込む作業は、もうありません。自動で読み取った内容が完璧でないこともありますが、空欄を埋めるより、すでに入っている文字を直すほうが、心理的にずっと軽い。私たちはそう考えました。

職務経歴や学歴も、自由記述の長い枠ではなく、会社名・部署・役職・在籍期間を選んでいく形にしました。自由記述の枠は、一見すると親切に見えて、実は「どこまで書けばいいんだろう」「この書き方で大丈夫だろうか」という迷いを生みます。選ぶ形にすれば、その迷いごとなくせます。書く量を減らすことは、手間を減らすだけでなく、不安を減らすことでもあるのです。

途中でやめても、続きからやり直せる

応募は、まとまった時間がある時だけにするものではないはずです。

通勤電車で書きはじめて、降りる駅で一度中断する。昼休みに少し進める。夜、自宅のソファでスマートフォンを開いて、最後まで仕上げる。生活のすき間でできるのが、本来あるべき姿だと思います。それなのに、多くの応募フォームは「一気に最後まで入力しないと、書いたものが消える」という作りになっていて、まとまった時間を確保できない人を静かに締め出しています。

新しいフローでは、入力した内容がその場で保存されます。あとでマイページを開けば、「続きから」ボタンひとつで、やめたところから再開できます。書きかけが消える不安がないだけで、応募のハードルはずいぶん下がります。「あとでやろう」が「結局やらなかった」にならないように、いつでも戻ってこられる場所を用意しました。

「送信」したら、もう選考は始まっている

これまで多くの採用フォームは、送信した瞬間に「ご応募ありがとうございました」という完了画面を出して、そこで止まっていました。応募者は、次に何が起きるのか分からないまま、ただ連絡を待つしかなかった。あの真っ白な完了画面は、丁寧なようでいて、実は「ここから先は、こちらの都合で進めます」という宣言でもありました。

私たちは、その完了画面そのものをなくしました。応募を送信すると、そのまま次のステップ(簡単なWeb選考)へと進みます。待たされる時間を、前に進む時間に変えたのです。勢いがあるうちに、もう一歩進める。その一歩が、後日あらためて呼び出される負担を減らします。

もちろん、ここでも「あとで続ける」を選べます。今は時間がない、落ち着いて答えたい――そう思えば、いつでも中断してマイページから戻ってこられる。前に進みたい人は進め、立ち止まりたい人は立ち止まれる。あなたのペースを、こちらの都合で奪わないことを大事にしました。

選考の進み具合は、いつでも見える

応募した後の「沈黙」は、応募者にとって一番つらい時間です。

選考結果を待つ間、「ちゃんと届いたのだろうか」「もう見てもらえたのだろうか」「不採用なら、せめて早く教えてほしい」――そんな思いを抱えながら、メールの受信箱を何度も確認する。あの落ち着かない時間を、私たちはなくしたいと考えました。

新しいマイページでは、あなたの応募がいま選考のどの段階にあるのかを、タイムラインで確認できます。通知の受け取り方も自分で設定できますし、あなたの経歴に近いテーマの記事もおすすめとして並びます。「どうなっているんだろう」と不安に思ったら、問い合わせる前に、いつでも自分で確かめられる。情報を出し惜しみしないことが、応募者への最低限の誠実さだと考えています。

ログインの手間も、できるだけ小さく

応募のために、また新しいアカウントを作り、また新しいパスワードを覚える――これも地味な負担です。

新しいフローでは、GoogleやGitHubのアカウントでそのままログインを始められます。パスワードを一つ増やす必要はありませんし、未ログインのときも、その場でログインの選択肢が出るので、別のページへ飛ばされて迷子になることもありません。入口の小さな摩擦を、一つずつ取り除いていく。その積み重ねが、「応募してみようかな」という気持ちを途切れさせないことにつながります。

AIで書類を整えることを、私たちは問題視しません

最近、就職活動でAIを使うことが話題になっています。エントリーシートの作成から自己分析、面接の想定問答まで、AIに任せて大手企業の内定を得たという話が報じられ、ある調査では2027年卒の生成AI利用率は8割を超えるともされています。「就活でAIを使うのはズルいのか」という議論もあります。

私たちの考えをはっきり書いておきます。応募書類の作成にAIを使うこと自体を、私たちは不正とは見なしません。それよりも重要なのは、書かれていることの実体が本人にあるかどうかです。AIが文章を整えても、そこに語られている経験や考えが本人のものであれば、何も問題ありません。逆に、どれだけ自分の手で書いても、実体のない話を並べた書類は意味をなしません。

私たちのシステムでは、応募内容にAIの関与がどの程度ありそうかという参考指標を管理者に提示します。しかしそれは、自動的な合否の根拠にはなりません。AIを使った書類だから落とす、ということは一切しない。見ているのはその先、書類の向こうにいる本人のことです。

AIは「下ごしらえ」まで。決めるのは、人です

ここは、誤解されたくないので正直に書きます。

私たちは選考にAIを使っています。応募内容を整理したり、着目すべき点を抜き出したり、最初の連絡文の下書きを用意したり――そうした「下ごしらえ」はAIが手伝います。応募が増えても一人ひとりにきちんと向き合うために、人間がやらなくてもよい作業はAIに任せる、という考え方です。AIに任せることで、担当者は事務作業ではなく、あなたという人を理解することに時間を使えます。

一方で、合否のような大事な判断を、AIだけに委ねることはしません。明らかに条件が合わない場合の整理を除けば、AIの役割はあくまで「推奨」まで。最終的には、人が内容を見て判断します。あなたという一人の人間を、機械のはじき出したスコアだけで決めることはしない。これは、私たちが設計の段階で自分たちに課したルールです。技術的にはもっと自動化できますが、あえてそうしていません。人を選ぶ責任は、人が負うべきだと考えるからです。

それでも残る、「会ってみないとわからない」

フローをどれだけ磨いても、人と人が一緒に働けるかどうかは、最後は会ってみないと分かりません。書類やフォームから読み取れることには限界があります。だからこそ、その「会う」までの道のりにある無駄な摩擦を、私たちは一つずつ取り除きました。摩擦を減らすのは、効率のためだけではなく、お互いが本当に大事な「会って話す」段階に、できるだけ良いコンディションでたどり着くためです。

応募は、あなたの熱意を試す関門ではありません。私たちがあなたと出会うための、できるだけ短い入口であるべきです。長いフォームを我慢できる人ではなく、一緒に良い仕事ができる人と出会いたい。だから入口は、低く、軽く、いつでも引き返せるものにしました。

応募から選考までの、新しい流れ

実際に、新しいフローがどのように進むのかを、順番にご紹介します。

まずはログインです。GoogleやGitHubのアカウントを選ぶだけで始められます。次に、募集中のポジションのなかから、興味のあるものを選びます。そして履歴書をアップロードすると、氏名や職務経歴といった項目が自動で読み取られ、フォームに入った状態になります。あとは、空いているところを確認して、必要なら手を入れるだけです。

ポートフォリオや作品のリンクがあれば、種類を選んで追加できます。学歴や職務経歴は、会社名や在籍期間を選んでいく形なので、書き方に迷わず進められます。応募の動機も、長文を一から書かされるのではなく、選びながら、必要なところにだけ自分の言葉を添える形にしました。

最後に内容を確認して送信すると、完了画面で止まることなく、そのまま簡単なWeb選考へと進みます。時間がなければ「あとで続ける」を選び、マイページからいつでも再開できます。提出した後は、マイページで選考の進み具合を見守るだけ。どの段階にいても、あなたが置いていかれることはありません。

先に、よくある不安にお答えします

「準備が完全に整っていないと応募してはいけないのでは」と思う方がいます。そんなことはありません。途中まで入力して保存し、後日あらためて続きから仕上げていただいて構いませんし、履歴書から読み取った内容も、アップロードのあとでいくらでも直せます。すべてを整えてから動く必要はなく、まず一歩を踏み出していただければ十分です。

「自分の情報がどう扱われるのか」も、気になるところだと思います。アップロードいただいた履歴書は、応募の項目を埋めるために読み取るものであり、選考の最終的な判断は人が行います。AIはあくまで担当者の作業を助ける裏方であって、あなたを点数だけで選別する存在ではありません。

そして「応募したのに、その後どうなったのか分からない」という、いちばんよくある不安についても、マイページで選考の状況がいつでも見えるようにしました。沈黙のなかで待たせない。これが、私たちが応募してくださる方に対して守りたい約束です。

私たちが、応募という入口に込めた考え

応募フォームは、会社が候補者に最初に差し出す「体験」です。そこにどれだけの配慮があるかは、その会社が人をどう扱うかを、言葉より雄弁に物語ります。私たちは、応募してくれる方の時間と気持ちを大切にしたい。その思いを、機能の一つひとつに込めたつもりです。

入力を減らしたのも、中断と再開を許したのも、選考の状況を見えるようにしたのも、すべては同じ一つの考えから来ています。応募してくれる人を、選別すべき候補としてではなく、これから出会うかもしれない仲間として扱いたい、ということです。

もし IIWAYO.TECH に少しでも興味を持っていただけたなら、まずは気軽に、その入口を覗いてみてください。完璧に準備が整っていなくても構いません。途中でやめても、ちゃんと続きから待っています。あなたが一歩を踏み出しやすいように、私たちは入口を整えて、お待ちしています。


伊藤翔太 IIWAYO.TECH