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経営・組織

「応募が面倒」を、全部なくした。採用フローを一日で作り直した話

2026年6月7日8分で読める
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「応募が面倒」を、全部なくした。採用フローを一日で作り直した話

応募ボタンを押す前に、そっとページを閉じたことはありませんか。

履歴書を用意して、職歴を一から打ち込んで、長い志望動機を書かされて――。応募という行為は、いつのまにか「本気の人だけが越えられる障害物競走」になっています。けれど、その障害物の高さは、応募者の能力とは何の関係もありません。むしろ、面倒なフォームほど、丁寧で誠実な人ほど時間をかけてしまい、忙しい優秀な人ほど途中で離脱していきます。これは、採る側にとっても不幸な構造です。

私たち IIWAYO.TECH は、自社の採用フローをこの目で見直し、一日かけて作り直しました。目的はただ一つ、「応募が面倒だから」という理由で出会いを失うのをやめること。この記事では、応募する方の体験がどう変わったのか、そしてその一つひとつの変更に、私たちがどんな考えを込めたのかをお伝えします。

この記事は「採用システムを一日で作り直した取り組み」を3つの立場で書いた、3部作の1本です。

履歴書をアップロードするだけ。項目は、自動で埋まる

新しい応募フローでまず変えたのは、「入力」そのものをできる限り消すことでした。

考えてみれば、応募者の情報はすでに履歴書という一枚にまとまっています。それなのに、同じ内容をフォームの空欄に一文字ずつ打ち直させるのは、二度手間以外の何物でもありません。私たちは、その二度手間をなくすことから始めました。

お手元の履歴書や職務経歴書をアップロードしていただくと、その内容を自動で読み取り、氏名・学歴・職務経歴といった項目を、フォームにあらかじめ入れておきます。あなたがやることは、空いているところを確認して、必要なら直すだけ。ゼロから打ち込む作業は、もうありません。自動で読み取った内容が完璧でないこともありますが、空欄を埋めるより、すでに入っている文字を直すほうが、心理的にずっと軽い。私たちはそう考えました。

職務経歴や学歴も、自由記述の長い枠ではなく、会社名・部署・役職・在籍期間を選んでいく形にしました。自由記述の枠は、一見すると親切に見えて、実は「どこまで書けばいいんだろう」「この書き方で大丈夫だろうか」という迷いを生みます。選ぶ形にすれば、その迷いごとなくせます。書く量を減らすことは、手間を減らすだけでなく、不安を減らすことでもあるのです。

途中でやめても、続きからやり直せる

応募は、まとまった時間がある時だけにするものではないはずです。

通勤電車で書きはじめて、降りる駅で一度中断する。昼休みに少し進める。夜、自宅のソファでスマートフォンを開いて、最後まで仕上げる。生活のすき間でできるのが、本来あるべき姿だと思います。それなのに、多くの応募フォームは「一気に最後まで入力しないと、書いたものが消える」という作りになっていて、まとまった時間を確保できない人を静かに締め出しています。

新しいフローでは、入力した内容がその場で保存されます。あとでマイページを開けば、「続きから」ボタンひとつで、やめたところから再開できます。書きかけが消える不安がないだけで、応募のハードルはずいぶん下がります。「あとでやろう」が「結局やらなかった」にならないように、いつでも戻ってこられる場所を用意しました。

「送信」したら、もう選考は始まっている

これまで多くの採用フォームは、送信した瞬間に「ご応募ありがとうございました」という完了画面を出して、そこで止まっていました。応募者は、次に何が起きるのか分からないまま、ただ連絡を待つしかなかった。あの真っ白な完了画面は、丁寧なようでいて、実は「ここから先は、こちらの都合で進めます」という宣言でもありました。

私たちは、その完了画面そのものをなくしました。応募を送信すると、そのまま次のステップ(簡単なWeb選考)へと進みます。待たされる時間を、前に進む時間に変えたのです。勢いがあるうちに、もう一歩進める。その一歩が、後日あらためて呼び出される負担を減らします。

もちろん、ここでも「あとで続ける」を選べます。今は時間がない、落ち着いて答えたい――そう思えば、いつでも中断してマイページから戻ってこられる。前に進みたい人は進め、立ち止まりたい人は立ち止まれる。あなたのペースを、こちらの都合で奪わないことを大事にしました。

選考の進み具合は、いつでも見える

応募した後の「沈黙」は、応募者にとって一番つらい時間です。

選考結果を待つ間、「ちゃんと届いたのだろうか」「もう見てもらえたのだろうか」「不採用なら、せめて早く教えてほしい」――そんな思いを抱えながら、メールの受信箱を何度も確認する。あの落ち着かない時間を、私たちはなくしたいと考えました。

新しいマイページでは、あなたの応募がいま選考のどの段階にあるのかを、タイムラインで確認できます。通知の受け取り方も自分で設定できますし、あなたの経歴に近いテーマの記事もおすすめとして並びます。「どうなっているんだろう」と不安に思ったら、問い合わせる前に、いつでも自分で確かめられる。情報を出し惜しみしないことが、応募者への最低限の誠実さだと考えています。

ログインの手間も、できるだけ小さく

応募のために、また新しいアカウントを作り、また新しいパスワードを覚える――これも地味な負担です。

新しいフローでは、GoogleやGitHubのアカウントでそのままログインを始められます。パスワードを一つ増やす必要はありませんし、未ログインのときも、その場でログインの選択肢が出るので、別のページへ飛ばされて迷子になることもありません。入口の小さな摩擦を、一つずつ取り除いていく。その積み重ねが、「応募してみようかな」という気持ちを途切れさせないことにつながります。

AIは「下ごしらえ」まで。決めるのは、人です

ここは、誤解されたくないので正直に書きます。

私たちは選考にAIを使っています。応募内容を整理したり、着目すべき点を抜き出したり、最初の連絡文の下書きを用意したり――そうした「下ごしらえ」はAIが手伝います。応募が増えても一人ひとりにきちんと向き合うために、人間がやらなくてもよい作業はAIに任せる、という考え方です。AIに任せることで、担当者は事務作業ではなく、あなたという人を理解することに時間を使えます。

一方で、合否のような大事な判断を、AIだけに委ねることはしません。明らかに条件が合わない場合の整理を除けば、AIの役割はあくまで「推奨」まで。最終的には、人が内容を見て判断します。あなたという一人の人間を、機械のはじき出したスコアだけで決めることはしない。これは、私たちが設計の段階で自分たちに課したルールです。技術的にはもっと自動化できますが、あえてそうしていません。人を選ぶ責任は、人が負うべきだと考えるからです。

それでも残る、「会ってみないとわからない」

フローをどれだけ磨いても、人と人が一緒に働けるかどうかは、最後は会ってみないと分かりません。書類やフォームから読み取れることには限界があります。だからこそ、その「会う」までの道のりにある無駄な摩擦を、私たちは一つずつ取り除きました。摩擦を減らすのは、効率のためだけではなく、お互いが本当に大事な「会って話す」段階に、できるだけ良いコンディションでたどり着くためです。

応募は、あなたの熱意を試す関門ではありません。私たちがあなたと出会うための、できるだけ短い入口であるべきです。長いフォームを我慢できる人ではなく、一緒に良い仕事ができる人と出会いたい。だから入口は、低く、軽く、いつでも引き返せるものにしました。

私たちが、応募という入口に込めた考え

応募フォームは、会社が候補者に最初に差し出す「体験」です。そこにどれだけの配慮があるかは、その会社が人をどう扱うかを、言葉より雄弁に物語ります。私たちは、応募してくれる方の時間と気持ちを大切にしたい。その思いを、機能の一つひとつに込めたつもりです。

入力を減らしたのも、中断と再開を許したのも、選考の状況を見えるようにしたのも、すべては同じ一つの考えから来ています。応募してくれる人を、選別すべき候補としてではなく、これから出会うかもしれない仲間として扱いたい、ということです。

もし IIWAYO.TECH に少しでも興味を持っていただけたなら、まずは気軽に、その入口を覗いてみてください。完璧に準備が整っていなくても構いません。途中でやめても、ちゃんと続きから待っています。あなたが一歩を踏み出しやすいように、私たちは入口を整えて、お待ちしています。


伊藤翔太 IIWAYO.TECH