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完璧を目指すと、AI時代のスピードに永遠に追いつけない ── 700万行のAI支援コードで学んだ「3回目まで続ける」姿勢
A/Bテストを回せない経営者はAI時代に生き残れない。汚い手作り動画が完璧なプロ映像に勝つ理由

— 完璧を目指した瞬間から、AI時代のスピードに置いていかれる —
「もう少し、完成度を上げてからリリースしたいんです」
中規模企業の経営者から、今もよくこの言葉を聞きます。
気持ちはわかります。世に出す以上、恥ずかしくないレベルにしたい。顧客に『雑な仕事をする会社』と思われたくない。リリース後に批判を受けたくない。
でも、この『完璧を目指す姿勢』こそが、2026年のAI時代において、あなたの会社を静かに後退させている最大の病です。
BCGが2025年9月に発表したレポート『The Widening AI Value Gap』によれば、AIで本格的に財務的価値を創出できている「Future-Built」な企業は、世界中でわずか5%。約60%の企業はAIから「ほとんど、または全く効果がない」と答えています。
95%側の企業に共通する特徴の一つが、この『完璧主義』です。
この記事では、私が株式会社IIWAYO.TECHでLovable(AI開発プラットフォーム)を使って700万行以上のコードを生成してきた経験から、AI時代の経営者が捨てるべき『完璧主義』という名の病と、それに代わる『3回目まで続ける姿勢』について、具体的にお話しします。
AI経営とは、AIツールを導入することではありません。AIが前提になった世界で、意思決定のスピードと学習サイクルを再設計することです。
完璧を目指すと、なぜAI時代に負けるのか
まず、なぜ『完璧主義』がAI時代に致命的なのか、構造を整理します。
過去20年間、マーケティングやプロダクト開発の世界では、時間をかけて品質を磨くことが差別化の源泉でした。洗練されたセールスコピー、プロのカメラマンによる撮影、完璧なランディングページ、綿密な事前リサーチ。これらには時間とお金が必要で、そのコストを負担できる企業だけが市場で勝てました。
でも、世界は変わりました。
ChatGPTとクレジットカードさえあれば、平凡なセールスコピーは誰でも作れます。動画編集も、AI生成も、LP作成も、同じ条件で競合もできる。「時間をかけた完璧さ」が、もはや差別化の武器ではなくなったのです。
では、何が差別化の源泉になったか。
答えは、学習速度です。
より多くのテストを回し、より多くの失敗から学び、より早く市場の反応を取り込んで修正できる企業が、10倍速くゴールに近づきます。完璧な1本の動画より、荒削りでも20本の動画で市場が教えてくれる正解のほうが、圧倒的に価値が高い時代になりました。
「汚い手作り動画」が「完璧なプロ映像」に圧勝する理由
具体例で説明します。
多くの企業が、自社サービスの動画広告を作るとき、プロの撮影会社に依頼します。数百万円をかけて、照明・カメラ・編集・ナレーションを完璧に仕上げる。出来上がった映像は美しく、誰が見ても「ちゃんとした会社の動画」だとわかります。
一方、別の企業は、社長がスマホで社内の様子を撮影しながら、思ったことを喋るだけの動画を毎週1本アップし続けます。画質は粗い。編集もほぼない。照明もなく、カメラのブレもある。
結果はどうなるか。
多くのケースで、後者の『汚い手作り動画』のほうが成約率が高いのです。
理由は3つあります。
ひとつめ。現代の消費者は「完璧な広告」に警戒心を持つ。あまりに綺麗に仕上がった動画は「広告っぽい」「売り込まれている」という感覚を呼び起こし、心理的防衛が働きます。一方、荒削りな手作り動画には「嘘っぽさがない」「この人は本音で話している」という印象が生まれる。
ふたつめ。頻度が信頼を作る。週1本の手作り動画は、月1本のプロ映像より圧倒的に露出回数が多い。露出回数が多ければ多いほど、視聴者との心理的距離は縮まります。これは単純接触効果という心理学の古典的な原理です。
みっつめ。テストが回せる。プロ映像は1本作るのに数ヶ月かかるので、仮にハマらなくても修正できない。一方、手作り動画は毎週作れるので、反応を見ながら切り口・言葉選び・構成を改善し続けられる。3ヶ月後には、プロ映像では到達できない精度に達します。
これは動画だけの話ではありません。マーケティング全般、プロダクト開発、サービス設計、営業提案——あらゆる領域で、「完璧な1発」より「荒削りな10発」のほうが勝つ時代です。
私がLovableで700万行のコードを書いた中で身につけた姿勢
この『3回目まで続ける姿勢』を、私は経営者としての12年の中で、何度も痛い目に合いながら身につけてきました。
私は株式会社IIWAYO.TECH 代表取締役の伊藤翔太と申します。慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、大和総研グループで金融系システムの保守運用に従事し、その後独立。2025年2月には研究機器リセール事業「ディルウィングス」を事業売却(M&A)しました。
現在は AI開発ツール「Lovable」で、4ヶ月間で700万行以上のコードを生成しています。これは人月80万円換算で約11.6億円分、エンジニア1人分の約26年分の工数に相当します。日本最多利用者(Top 1%、「National Treasure」称号)として認定されています。
この『4ヶ月で26年分』という成果は、完璧主義を捨てたから実現できたものです。
Lovableでの開発は、ほぼ毎回こんな流れです。
- 「こういう画面を作ってほしい」と日本語で指示を出す
- AIが数分〜数十分で画面を生成する
- 触ってみる
- 「ここが変」「ここを変えてほしい」と追加指示を出す
- AIが修正する
- また触る……
このサイクルを、1日に100回以上繰り返します。
ここで重要なのは、**1回目の生成結果をほぼ『完璧に近づけようと粘らない』**ということです。「もう少しでうまくいきそう」と思っても、そこで粘るよりも、別のアプローチで再生成したほうが、結果的に早く正解に到達します。
これが『3回目まで続ける姿勢』です。
1回目はだいたい失敗します。AIは私の意図を完全に理解できないからです。2回目で方向性が見えてきます。3回目でようやく実用的なものが出てきます。その後、細部を磨くフェーズに入ります。
重要なのは、1回目や2回目の時点で「AIは使えない」と見切らないことです。3回目まで続ける忍耐がない経営者は、Lovableを1日で諦めて「AIは使えない」と結論づけます。そして、95%の『AIで効果が出ない企業』の側に入ります。
「3回目まで続ける」をマーケティングに応用する
この『3回目まで続ける姿勢』は、マーケティング全般にも直接応用できます。
多くの経営者は、新しい広告クリエイティブを1つ作って、1週間試して、反応が悪ければ「ダメだった」と結論づけます。これが典型的な失敗パターンです。
正しくは、こうです。
- 1回目の広告:市場の反応を見るための試作品。うまくいかない前提で作る。
- 2回目の広告:1回目の反応を見て、訴求軸・切り口・ビジュアルを変えて作る。
- 3回目の広告:1・2回目のデータから、勝ちパターンの仮説を立てて作る。
- 4回目以降:勝ちパターンを微調整し続ける。
多くの企業は、1回目の失敗で『広告は効かない』と結論づけて止めます。この時点で、ゴールまであと3歩のところで立ち止まっているのに、気づかないのです。
A/Bテストは、回数を重ねるほど価値を発揮します。1回では何もわかりません。10回で傾向が見えてきます。100回で勝ちパターンが確立します。
経営の失敗でも、私は「3回目まで続けなかった」から負けた
私自身、経営者として、この『3回目まで続けなかった』ことで大きく失敗した経験があります。
社会人時代、私はFXで約250万円を失いました。
最初は順調でした。いくつかの取引で小さな利益が出ました。しかし、次第に損失が出始めました。私はそこで「この手法は間違っている」と判断し、別の手法に切り替えました。それも2週間で諦めて、さらに別の手法へ。最終的に、どの手法でも『3回目まで続ける』ことなく、全部を浅く試して、全部で負けました。
今思えば、ひとつの手法を『3回失敗するまで』徹底的に続けていれば、少なくとも「この手法では自分には合わない」ということが明確に学べたはずです。学びがあれば、次の手法を選ぶときの判断が鋭くなった。しかし、2回目の失敗で浅く切り替えた結果、どの手法でも『本当にダメな理由』がわからないまま、250万円を失いました。
経営者時代には、もっと大きな失敗をしました。
私はある経営コンサルティング会社に、3年間で約1,800万円を支払いました。新橋にある某有名コンサルティング会社です。月額約50万円×3年間。最初の数ヶ月で「このコンサルは実行してくれない」と気づきましたが、『もう少し続ければ変わるかもしれない』と粘ってしまった。
ここで『3回目まで続ける姿勢』の正しい運用は、「3ヶ月で明確な実行支援がなければ契約を終了する」という撤退ラインを事前に設定することでした。しかし、私はそれを曖昧にしたまま3年間継続し、1,800万円を失いました。
『3回目まで続ける姿勢』は、「やり方を3回変えて試す」ことが本質であり、『同じ手法を漠然と続ける』こととは別物です。
完璧主義が毒になる、3つの場面
完璧主義が特に経営の毒になる場面を、3つ整理します。
場面1: プロダクトのβリリース
新しいサービスやシステムを世に出すとき、完璧主義者は「もう少し機能を追加してから」「もう少しバグを潰してから」と延々リリースを遅らせます。
しかし、β版を使うのは『新しいものを試したい』と思うアーリーアダプターです。彼らはバグや未完成さを許容します。それどころか、『自分が改善に貢献している』という満足感すら得ます。
完璧を目指して3ヶ月遅らせるより、荒削りでもβ版を出して、アーリーアダプターから生のフィードバックをもらいながら磨いていくほうが、結果的に3ヶ月後の完成度は圧倒的に高くなります。
私自身、Lovableで構築した社内向けツールも、ほとんどβ版で現場に投入しています。現場の声を聞きながら2週間ごとに改修する。4ヶ月後には、最初から完璧に作ろうとした場合より、現場にとって使いやすいものになっています。
場面2: コンテンツ発信
ブログ記事、Note、X、動画配信。多くの経営者は、「完璧な1本」を作ろうとして、結局1本も出せません。
発信の本質は頻度です。週1本の荒削りな記事を50週続けたほうが、完璧な1本を1年に1回出すより、圧倒的に読者との関係が深まります。
これは私自身、iiwayo.tech/blogで実証していることです。最初の数本は拙いものでした。でも書き続けることで、読者がつき、検索からの流入が増え、クライアントからの問い合わせに繋がるようになりました。
場面3: クライアント提案
私が3,000万円のシステム開発で失敗した経験と同じく、多くの経営者は「完璧な提案書」を準備してから、クライアントに会いにいこうとします。
しかし、完璧な提案書を1ヶ月かけて作っている間に、クライアントの課題は変わります。現場で起きていることも変わります。
正解は、荒削りな仮説を持って、早くクライアントに会い、対話で磨くことです。提案書は、対話の結果として作るもの。対話の前に完璧にしようとする姿勢は、単なる自己満足です。
BANSOU CTO™ で伴走する「3回目まで続ける経営」
私が株式会社IIWAYO.TECHで提供している BANSOU CTO™ は、この『完璧主義から脱却し、3回目まで続ける姿勢』を経営全体に実装するための伴走支援です。
- アドバイザリーだけのCTOではありません
- セミナーで「AIで何ができるか」を教えるのでもありません
- 経営者と一緒に、『まず荒削りでも動かしてみる』『数字を見て判断する』『次の手を打つ』というサイクルを、AI前提で再設計します
料金体系は、経営者の状況に合わせて3プランから選べる構造です。
- スターター:月額50万円(助言のみ、開発なし、レベニューシェアなし)
- スタンダード:月額100万円(実装あり、レベニューシェア対象)
- フルコミット:月額200万円(本格開発・組織構築、レベニューシェア対象)
スタンダード以上(100万円プラン)でレベニューシェアを設定しているのは、実装まで踏み込むからです。顧客の売上が伸びれば BANSOU CTO™ の報酬も伸びる。顧客の売上が伸びなければ報酬も伸びない。この利害一致構造が、『要件通りに作って終わり』ではなく『顧客の売上に繋がるシステムを作る』動機を生みます。
一般的な正社員CTO採用と比較すると:
| 項目 | 正社員CTO | BANSOU CTO™ |
|---|---|---|
| 年間コスト | 800万〜1,500万円(年収) | 600万〜2,400万円/年(プラン次第) |
| 採用リスク | 高(ミスマッチ時の解雇コスト) | なし(3ヶ月前通知で解約可) |
| 即戦力化 | 数ヶ月 | 即日 |
| 経営経験 | まちまち | 12年以上+M&A経験 |
BCGの調査で『AIで財務的価値を創出している企業は5%』という数字が出ているのは、AIの性能の問題ではなく、『3回目まで続けて実装まで落とせる人材』が希少だからです。
おわりに——完璧主義を捨てると、世界の見え方が変わる
完璧を目指す姿勢は、一見すると真面目で誠実に見えます。しかし、AI時代においては、それは『遅さ』と同義です。
あなたの会社が今、何かの意思決定で止まっているなら、自問してほしいのです。
「完璧を待っているのか、それとも、3回目まで続ける姿勢を持っているか」
完璧を待っている限り、永遠に動けません。3回目まで続ける姿勢があれば、1回目や2回目の失敗は、学びに変わります。
Lovableで700万行のコードを書き、事業売却を経験し、FXで250万円を失い、コンサルで1,800万円を失った私が、12年の経営から得た最大の教訓は、これです。
AIセミナーは、入口としては素晴らしい。でも、入口で止まっている会社が多すぎる。
あなたの会社は、今、完璧主義で止まっていませんか?
この記事のポイント
- AIで財務的価値を創出している企業は全体のわずか5%(BCG 2025年調査)。95%の失敗の共通要因は完璧主義
- ChatGPT時代、時間をかけた完璧さは差別化にならない。差別化の源泉は『学習速度』に移った
- 汚い手作り動画がプロ映像に勝つ理由:警戒心の低さ、露出頻度、テスト可能性の3つ
- 『3回目まで続ける姿勢』= やり方を3回変えて試す。1回目や2回目の失敗で見切らない
- BANSOU CTO™ はこの姿勢を経営全体に実装する伴走支援。レベニューシェア型で利害一致
伊藤翔太 株式会社IIWAYO.TECH 代表取締役 / 株式会社リサスティー 代表取締役
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