ブログ一覧に戻る
創業者ストーリー

3,000万円のシステム外注失敗から学んだ、経営者が絶対に知っておくべきシステム発注の7つの落とし穴

2026年2月26日伊藤翔太18分で読める
19
3,000万円のシステム外注失敗から学んだ、経営者が絶対に知っておくべきシステム発注の7つの落とし穴

執筆者:伊藤翔太(株式会社IIWAYO.TECH 代表取締役 / BANSOU CTO) 公開日:2026年2月23日 最終更新日:2026年2月23日


「システムを入れれば、業務が楽になる」

多くの経営者がそう信じて、数百万円、場合によっては数千万円をシステム開発に投じます。

しかし現実はどうでしょうか。

中小企業庁の調査によれば、IT投資に「期待通りの効果があった」と回答した中小企業はわずか3割程度。残りの7割は「思ったほど効果がなかった」「むしろ業務が増えた」と感じているのが実態です。

私自身、かつて経営していたリユース事業で3,000万円をかけてシステムを外注し、壮大な失敗を経験しました。

この記事では、その実体験をもとに、ITに詳しくない経営者がシステム発注で陥りがちな「7つの落とし穴」を、包み隠さずお伝えします。

これからシステム開発を検討している方、過去に失敗した経験がある方にとって、同じ過ちを繰り返さないためのヒントになれば幸いです。


この記事を書いている人の自己紹介

この記事を書いている人の自己紹介

まず、なぜ私がこのテーマで記事を書いているのかをお伝えします。

私は伊藤翔太と申します。慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、大和総研グループで金融系システムの保守・運用に従事しました。その後起業し、研究機器のリユース事業を立ち上げ、約12年間経営した後に事業売却(EXIT)を経験しています。

現在は株式会社IIWAYO.TECHの代表取締役として、中小企業やスタートアップ向けに「BANSOU CTO」という伴走型CTOサービスを提供しています。

AI開発ツールの活用実績ではグローバルプラットフォームで国内トップ1%のクリエイターとして認定されており、4ヶ月間で700万行以上のコードを生成した実績があります。

つまり、「システム外注で3,000万円を失った経営者」であり、同時に「システムを作る側のプロ」でもあるという、両方の立場を経験している人間です。

だからこそ、経営者側の気持ちも、開発会社側の事情も、両方がわかります。


私が3,000万円の失敗で経験したこと

私が3,000万円の失敗で経験したこと

具体的に何が起きたのかをお話しします。

当時、私は研究機器のリユース事業を経営しており、業務効率化のために基幹システムの開発を外注しました。

投資額は約3,000万円。決して小さな金額ではありません。

しかし、完成したシステムは想像とはまったく違うものでした。

まず、開発会社との打ち合わせの段階から、話が噛み合いませんでした。

私は「こういう業務をこう効率化したい」という話をしているのに、返ってくるのは技術用語ばかり。「APIの仕様はどうしますか?」「データベースのリレーションはこの設計で良いですか?」と聞かれても、私はシステムの専門家ではありません。

逆に聞かれて困る、という状況が頻繁に発生しました。

さらに問題だったのは、リリース後です。

バグとシステムダウンが頻発し、システムが止まるたびに業務がストップ。本来は業務を楽にするためのシステムだったはずなのに、「システムのお守り」が新たな仕事になってしまいました。

結果的に、3,000万円をかけて手に入れたのは「業務を楽にするシステム」ではなく、「業務を増やすシステム」でした。

この経験があるからこそ、今の私は「経営者がシステム発注で失敗する構造的な原因」を理解しています。

以下、私の実体験と、その後100件以上のシステム開発プロジェクトに関わってきた知見をもとに、7つの落とし穴を解説します。


落とし穴①:「要件定義」を開発会社に丸投げしている

落とし穴①:「要件定義」を開発会社に丸投げしている

これは最も多い失敗パターンです。

要件定義とは、「何を作るか」を決める工程です。家を建てるときの設計図にあたります。

多くの経営者は「システムのことはよくわからないから」と、この工程を開発会社に任せてしまいます。

しかし、ここに大きな問題があります。

開発会社はシステムのプロではありますが、あなたの事業のプロではありません。

あなたの会社の業務フロー、顧客の特性、スタッフの ITリテラシー、将来の事業計画。これらを本当に理解しているのは、経営者であるあなた自身です。

要件定義を丸投げするということは、あなたの事業を知らない人に「何を作るか」を決めてもらうということ。これでは、的外れなシステムが出来上がるのは当然です。

私の場合も、まさにこの罠にはまりました。「プロに任せれば大丈夫だろう」という甘い考えが、3,000万円の失敗の第一歩でした。

経営者がやるべきこと

要件定義を完全に理解する必要はありません。しかし、最低限「このシステムで何を実現したいのか」「どの業務をどう変えたいのか」を、自分の言葉で明確に言語化することが必要です。

技術的な仕様は開発会社に任せても構いません。しかし「何のために作るのか」「誰が使うのか」「どんな成果を期待しているのか」は、経営者自身が主導すべきです。


落とし穴②:見積もりの「妥当性」を判断できない

落とし穴②:見積もりの「妥当性」を判断できない

「このシステム、1,500万円です」と言われて、高いのか安いのか判断できますか?

多くの経営者は判断できません。これは恥ずかしいことではなく、構造的に仕方のないことです。

システム開発の見積もりは、一般的に「人月(にんげつ)」という単位で計算されます。エンジニア1人が1ヶ月稼働する費用がいくらか、という考え方です。

この人月単価は、会社によって40万円から150万円まで幅があります。同じシステムでも、A社は500万円、B社は2,000万円という見積もりが出ることは珍しくありません。

さらに厄介なのは、安ければ良いわけでもないという点です。

安い見積もりの裏には、経験の浅いエンジニアを充てる、テスト工程を省く、ドキュメントを作らない、といった「見えないコスト削減」が潜んでいる場合があります。

経営者がやるべきこと

最低でも3社以上の相見積もりを取ること。そして、見積もりの「内訳」を必ず確認してください。

「設計にいくら」「開発にいくら」「テストにいくら」「プロジェクト管理にいくら」。この内訳を比較することで、各社が何に重点を置いているかが見えてきます。

また、可能であれば、利害関係のない第三者にセカンドオピニオンを求めることを強くおすすめします。医療で「セカンドオピニオン」が当たり前になっているように、システム開発でも第三者の視点は非常に有効です。


落とし穴③:「完成してから確認する」というスケジュール

落とし穴③:「完成してから確認する」というスケジュール

これも非常に多い失敗パターンです。

システム開発を外注すると、多くの場合「3ヶ月後に完成品を納品します」というスケジュールが組まれます。

この「3ヶ月間、何も見れない期間」が危険です。

3ヶ月後に出来上がったものを見て「思っていたのと違う」と気づいても、修正には追加費用と追加期間がかかります。場合によっては、最初から作り直しということにもなります。

私の場合も、完成品を見てから「これは使えない」と気づきました。しかし、その時点ですでに大半の費用は支払い済み。修正を依頼するたびに追加費用が発生し、結果的に当初の予算を大幅に超過しました。

経営者がやるべきこと

「2週間に1回は動くものを見せてもらう」というルールを最初に決めてください。

アジャイル開発という手法では、短い期間で少しずつ作って確認しながら進めます。完成品を待つのではなく、途中段階のものを定期的に確認することで、方向性のズレを早期に修正できます。

最近では、AI開発ツールの進化により、プロトタイプ(試作品)を数日で作成し、実際に触って確認してから本格開発に進む、という流れも一般的になってきました。「見てから決める」という発想が重要です。


落とし穴④:「作って終わり」の契約になっている

落とし穴④:「作って終わり」の契約になっている

システム開発の契約書をよく読んでみてください。

多くの場合、「納品」をもって契約完了となっています。つまり、システムを作って渡したら、開発会社の仕事は終わりです。

しかし、システムは作ってからが本番です。

実際に業務で使い始めると、想定していなかった問題が次々と発覚します。「この画面、使いにくい」「このデータ、出力形式が違う」「この処理、遅すぎる」。

さらに、事業は常に変化します。新しい商品が追加されたり、業務フローが変わったり、法律が改正されたり。システムも、事業の変化に合わせて継続的に改善していく必要があります。

「作って終わり」の関係では、こうした変化に対応できません。

経営者がやるべきこと

契約時に、納品後のサポート体制を必ず確認してください。

具体的には、バグ修正の対応期間、軽微な仕様変更の回数、緊急時の対応フロー、保守運用の費用。これらを契約書に明記しておくことが重要です。

理想的には、「納品して終わり」ではなく「継続的に伴走してくれるパートナー」を選ぶことです。システムの価値は、作った瞬間ではなく、使い続ける中で生まれるものだからです。


落とし穴⑤:社内に「ITがわかる人」が一人もいない

落とし穴⑤:社内に「ITがわかる人」が一人もいない

これは中小企業に特に多い課題です。

社内にITがわかる人がいないと、開発会社との間に「情報の非対称性」が生まれます。

つまり、開発会社が言っていることが正しいのかどうか、判断する術がないのです。

「この機能を追加するには300万円かかります」と言われて、それが妥当なのかわからない。「この技術を使うべきです」と提案されて、他に選択肢があるのかわからない。「この仕様は変更できません」と言われて、本当にそうなのかわからない。

開発会社が悪意を持っているわけではなくても、情報格差がある以上、経営者側が不利な立場に置かれるのは構造的に避けられません。

経営者がやるべきこと

社内にフルタイムのエンジニアを雇う余裕がない場合は、外部の技術顧問やCTOサービスを活用することを検討してください。

重要なのは、「開発を発注する会社」と「技術を相談する相手」を分けることです。開発会社に「この見積もりは妥当ですか?」と聞いても、客観的な答えは返ってきません。

利害関係のない第三者の技術的な目があるだけで、不必要な機能開発や過剰な見積もりを防ぐことができます。


落とし穴⑥:「業務フローの整理」をせずに発注している

落とし穴⑥:「業務フローの整理」をせずに発注している

システムは、業務を自動化・効率化するためのツールです。

しかし、そもそも「今の業務フローが正しいのか」を検証せずにシステム化してしまうケースが非常に多いです。

例えば、Excelで管理している顧客リストをそのままシステムに移行するとします。しかし、そのExcelの管理方法自体に無駄や非効率があった場合、システム化しても「非効率な業務がデジタル化されるだけ」です。

私の失敗でもこの問題がありました。当時の業務フローをそのままシステムに落とし込もうとした結果、「紙でやっていた無駄な作業」がそのままデジタル化され、本質的な効率化にはなりませんでした。

経営者がやるべきこと

システム発注の前に、まず業務フローを棚卸しすること。

「この作業は本当に必要か?」「この承認フローは省略できないか?」「この書類は電子化できないか?」

こうした問いを立てて、業務フロー自体を最適化してからシステム化に取り組むことで、本当に意味のあるシステムが出来上がります。


落とし穴⑦:「安さ」だけで開発会社を選んでいる

落とし穴⑦:「安さ」だけで開発会社を選んでいる

「A社は2,000万円、B社は500万円。B社にしよう」

気持ちはわかります。しかし、システム開発において「安さ」だけで選ぶのは、非常にリスクの高い判断です。

安い見積もりには理由があります。

一つ目は、オフショア開発(海外のエンジニアに開発を委託すること)で、コミュニケーションコストが見積もりに含まれていないケース。

二つ目は、テスト工程や設計工程を極限まで削減しているケース。

三つ目は、受注後に「追加費用」として別途請求するビジネスモデルのケース。

最初は安くても、最終的な支払い総額が高額になることは珍しくありません。

経営者がやるべきこと

価格だけでなく、以下の観点で総合的に判断してください。

過去の実績と、自社の業界における経験。担当者のコミュニケーション力と、経営課題への理解度。納品後のサポート体制と、長期的な付き合いへの意思。そして、追加費用の発生条件と上限。

「安い開発会社」ではなく「自社の事業を理解してくれるパートナー」を選ぶことが、成功への近道です。


3,000万円の失敗から生まれた「BANSOU CTO」という解決策

3,000万円の失敗から生まれた「BANSOU CTO」という解決策

私がこれら7つの落とし穴をすべて経験したからこそ、今の事業があります。

現在提供している「BANSOU CTO」は、まさにこれらの構造的問題を解決するために生まれたサービスです。

従来のシステム開発は「発注者と受注者」の関係です。作って終わり、納品したら終わり。

BANSOU CTOは違います。

経営者のアイデアを批判的に磨き、必要のない機能は「それは要りません」とはっきり言う。売上に連動したレベニューシェア型の報酬体系だから、クライアントの事業が伸びなければ自分の報酬も増えない。だから、本気で事業成長にコミットする。

「褒めてほしいだけなら、他を当たってください」

これが、BANSOU CTOのスタンスです。


まとめ:システム発注で失敗しないための原則

まとめ:システム発注で失敗しないための原則

最後に、この記事のポイントを整理します。

第一に、要件定義は経営者自身が主導すること。「何のために作るのか」は、経営者にしか決められません。

第二に、見積もりは必ず複数社から取り、内訳を比較すること。そして可能であれば、第三者のセカンドオピニオンを受けること。

第三に、完成品を待つのではなく、開発途中で定期的に確認すること。プロトタイプで「見てから決める」という姿勢が重要です。

第四に、「作って終わり」ではなく、継続的に伴走してくれるパートナーを選ぶこと。

第五に、社内にITの判断ができる人材(または外部顧問)を確保すること。

第六に、システム発注の前に業務フローを棚卸しすること。

第七に、「安さ」ではなく「事業理解」で開発会社を選ぶこと。

これらの原則を守るだけで、システム発注の失敗リスクは大幅に下がります。

私の3,000万円の失敗が、あなたの成功のヒントになれば、これ以上嬉しいことはありません。


システム発注でお悩みの方へ

システム発注でお悩みの方へ

「見積もりが妥当かわからない」「開発会社の提案が正しいか判断できない」「そもそも何から始めればいいかわからない」

そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。

BANSOU CTOでは、システム発注のセカンドオピニオンから、要件定義の伴走支援、そして実際のシステム開発まで、経営者の「ITの悩み」をワンストップで解決します。

3,000万円の失敗を経験したからこそ、あなたには同じ失敗をさせません。

株式会社IIWAYO.TECH 代表取締役 伊藤翔太 BANSOU CTO ― あなたの会社の「中の人」になる、運命共同体型テックパートナー

お問い合わせ:https://iiwayo.tech/


この記事は、筆者自身の実体験および100件以上のシステム開発プロジェクトへの関与経験に基づいて執筆しています。個別のケースに関するご質問は、お気軽にお問い合わせください。


次に読むおすすめ

  • 「CEOの熱量だけでは事業は伸びない。CTOが必要な本当の理由」