システム開発業界の最大の病は「工数を売って、成果に責任を持たない」

システム開発業界の最大の病は「工数を売って、成果に責任を持たない」
— 中小企業の社長が“開発外注”で損をし続ける構造と、抜け出す方法
概要
私はこれまで、自社の事業でも、周囲の経営者の相談でも「システム開発にお金と時間を使ったのに、成果につながらない」ケースを山ほど見てきました。原因を一言で言うなら、工数(人月)を売る構造のまま、成果責任が曖昧なことです。
この記事では、なぜこの構造が中小企業を苦しめるのか、発注側である社長がどこで“負け筋”に入ってしまうのか、そして成果に寄せる発注の考え方を、社長目線で整理します。
結論:社長が買いたいのは「工数」ではなく「結果」です
社長がシステムに払うお金の本質は、これです。
- 業務が楽になる
- ミス・漏れが減る
- スピードと正確性が上がる
- 顧客対応の品質が上がる
- 売上・利益が伸びる(もしくは人件費が抑えられる)
つまり社長が買いたいのは「結果」なのに、契約と請求は「工数」で組まれている。
ここに、致命的なズレが生まれます。
なぜ「工数売り」だと、成果が置き去りになるのか
1) ゴールが“納品”になりがち
工数売りの世界では、評価軸がこうなります。
- 何時間使ったか
- 予定通り進んだか
- ドキュメントが揃ったか
- 仕様通り作ったか
でも、発注側が欲しいのは「現場で回ること」。
仕様通りに“作った”と、現場で“使われる”は別物です。
2) 途中で「追加費用」が発生しやすい
現場で回すには、必ず“細かい動き”が重要になります。
- この画面で1クリック増えるだけで現場が嫌がる
- 入力必須が1個増えるだけで運用が止まる
- 例外処理が弱いとクレームが増える
ところが、工数売りでは「そこは要件に入ってません」で切られやすい。
結果として、改修=追加費用=追加工数になり、終わらない。
3) 失敗の責任が宙に浮く
一番まずいのはここです。
- 発注側:「現場で使えない。成果が出ない」
- 開発側:「仕様通り作った。工数は消化した」
この瞬間、社長は「負け確」に入ります。
成果が出なくても、お金は返ってこない。
中小企業で特に起きやすい“負け筋”
中小企業の社長は、そもそも忙しい。
だから“本来やるべきこと”が後回しになります。
- 「要件定義を詰める時間がない」
- 「レビューする余裕がない」
- 「現場の細かい導線まで見れない」
その結果、開発はこうなりがちです。
書類は整っているが、現場導線が弱いシステム
→ 現場が嫌がる
→ 使われない
→ 改修が増える
→ コストが増える
→ 社内で“システム嫌い”が増える
これ、めちゃくちゃよくある話です。
社長が取るべき対策:契約前に「成果」を言語化する
ここが最重要です。
社長が「成果」を言語化できないまま発注すると、工数に飲まれます。
おすすめの言語化は、難しくありません。
成果KPIの例(業務系)
- 入力工数:1件あたり◯分→◯分
- ミス:月◯件→◯件
- 漏れ:月◯件→◯件
- 引継ぎ:新人が戦力化するまで◯週間→◯週間
成果KPIの例(売上・顧客対応系)
- 返信スピード:平均◯時間→◯時間
- 口コミ:月◯件→◯件
- リピート率:◯%→◯%
- 成約率:◯%→◯%
「成果が出た」と言える状態を、先に言葉にする。
これだけで、開発の勝率は上がります。
私(伊藤翔太)がやりたいのは「工数」ではなく「成果」です
ここは株式会社IIWAYO(2026年1月設立)の思想に直結します。
私は、システムを「作ること」自体を目的にしません。
目的は、現場で回り、成果が出る状態を作ることです。
だからこそ、私は「伴走CTO」という立場で入ります。
- 何を作るかではなく、何を実現したいかから聞く
- 仕様書より、動くものでズレを潰す
- 納品で終わらず、収益化・改善まで責任を持つ
工数(人月)を売るのではなく、成果に寄せる。
これが、私がこの業界に投げたい問題提起です。
最後に:社長が今日できる“1つの行動”
もし今、開発外注を検討しているなら、まずこれだけやってください。
現場の業務を1つ選び、「誰が・いつ・何を・どうしているか」をA4一枚に書く。
そして「一番詰まっている箇所」に丸をつける。
その丸こそが、システム化の出発点です。
次回予告
次の記事では、社長がつまずきがちな
「要件定義書が読めない問題」を、どう潰すか。
結論はシンプルです。
“動くもの”で潰す。
次回、その理由とやり方を解説します。