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システム設計

SaaS導入 vs オリジナルシステム—「自社に合わせる」と「合わせさせられる」の決定的な差

なぜ便利なはずのツールが、現場で使われなくなるのか

2026年1月4日伊藤翔太6分で読める
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SaaS導入 vs オリジナルシステム—「自社に合わせる」と「合わせさせられる」の決定的な差

概要

「SaaSを入れたのに、結局スプレッドシートに戻った」「AIエージェントを導入したけど、現場が使いこなせない」——こうした声をよく聞きます。便利なはずのツールが、なぜ現場で定着しないのか。その原因は「ビジネスをシステムに合わせている」という本末転倒な構造にあります。この記事では、SaaS導入とオリジナルシステム構築の違いを整理し、社長が判断を誤らないための視点をお伝えします。


「便利そう」で選んだSaaSが、現場で使われなくなる理由

SaaS(Software as a Service)は確かに便利です。

  • 初期費用が安い
  • すぐに使い始められる
  • アップデートが自動
  • サポートがついている

これだけ聞くと、導入しない理由がないように思えます。

でも、現実は違う。

私が見てきた中小企業の多くで、こんなことが起きています。

「SaaSを入れたけど、半年後にはスプレッドシートに戻っていた」

なぜこうなるのか。理由は明確です。


SaaSの本質的な問題:「合わせさせられる」構造

SaaSは「多くの企業が使える」ように設計されています。つまり、汎用性が高い。

これは裏を返せば、あなたの会社の業務フローに完全にフィットすることはないということです。

たとえば、こんな経験はありませんか?

  • 「この項目、うちには不要なのに必須入力になっている」
  • 「この順番で入力したいのに、システムの都合で変えられない」
  • 「欲しい機能がオプションで、追加料金がかかる」
  • 「カスタマイズしたいけど、対応していない」

結果として何が起こるか。

ビジネスをシステムに合わせることになります。

これは本末転倒です。

システムはビジネスを支えるためのツール。ツールのために業務を変えるのは、順序が逆なのです。


AIエージェントも同じ罠にハマる

最近は「AIエージェント」という言葉もよく聞きます。

「AIが自動で業務をやってくれる」「導入するだけで効率化」——魅力的な謳い文句です。

でも、これもSaaSと同じ問題を抱えています。

AIエージェントは「汎用的なタスク」を自動化するもの。あなたの会社の「固有の業務フロー」を理解しているわけではありません。

結果として、

  • 自社の業務に合わないアウトプットが出る
  • 修正に時間がかかる
  • 「結局、手でやった方が早い」となる
  • 現場が使わなくなる

**AI導入で成果を出している企業は5%**というBCGの調査があります。残りの95%は、こうした罠にハマっているのです。


オリジナルシステムの本質:「自社に合わせる」構造

一方、オリジナルシステム(自社専用システム)はどうか。

オリジナルシステムは、あなたの会社の業務フローに合わせて作ります。

  • 必要な項目だけを、必要な順番で入力できる
  • 自社の業務フローに沿った画面設計
  • 欲しい機能を、欲しい形で実装
  • 他システムとの連携も自由自在

つまり、システムがビジネスに合わせる構造です。

これが本来のあるべき姿。


「でも、オリジナルは高いでしょ?」という誤解

ここで社長がよく言うのが、「オリジナルシステムは高い」という言葉です。

確かに、従来のシステム開発は高かった。

  • 要件定義に数ヶ月
  • 開発に半年〜1年
  • 費用は数百万〜数千万
  • 改修のたびに追加費用

これでは中小企業には手が出ません。

でも、2025年以降、この常識は崩れました。

AIがコードを書く時代になり、開発スピードは劇的に上がりました。私の場合、30分〜1時間の面談で要件を聞き、翌日にはプロトタイプを見せられます。

費用も、従来の10分の1以下。初期費用ほぼゼロで、成果報酬型のモデルも可能になっています。

「オリジナルは高い」は、もう過去の話です。


SaaSとオリジナルの判断基準

では、どちらを選ぶべきか。判断基準を整理します。

判断軸SaaSが有効オリジナルが有効
業務の標準度一般的な業務(会計、勤怠など)自社固有の業務フロー
カスタマイズ性不要 or 軽微必須
競争優位性差別化ポイントではないコア業務・差別化ポイント
連携の複雑さ単独で完結複数システム連携が必要
長期コスト短期利用・検証段階長期運用

ポイントは「その業務は自社の競争優位性に関わるか」です。

会計や勤怠のような「どの会社でも同じ」業務は、SaaSで十分。でも、顧客対応や営業プロセスのような「自社らしさ」が出る業務は、オリジナルで作るべきです。


実例:スプレッドシートに戻った会社 vs 成果を出した会社

ケースA:SaaS導入後、スプレッドシートに戻った会社

ある会社が、顧客管理のためにSaaSを導入しました。

導入当初は「便利だ」と好評。でも、3ヶ月後にはこうなりました。

  • 「入力項目が多すぎて、現場が入力しなくなった」
  • 「欲しいレポートが出せない」
  • 「結局、スプレッドシートで管理した方が楽」

最終的に、SaaSは使われなくなり、月額費用だけが払われ続ける状態に。

ケースB:オリジナルシステムで成果を出した会社

別の会社では、同じ顧客管理の課題に対して、オリジナルシステムを構築しました。

  • 現場が「本当に必要な項目」だけを入力する設計
  • 入力後、自動でフォローメールが送信される
  • 店長向け・本部向けで見えるレポートを分ける

結果、入力率は95%以上。顧客フォローの漏れがなくなり、リピート率が向上しました。

違いは「現場の業務フローに合わせたかどうか」だけです。


まとめ:ツールに合わせるな、ツールを合わせろ

SaaSもAIエージェントも、それ自体が悪いわけではありません。

問題は、「ツールにビジネスを合わせる」という発想です。

本来、ツールはビジネスを支えるもの。ビジネスがツールに支配されてはいけない。

「自社の業務フローに合わせたシステム」を作る。

これが、現場で本当に使われるシステムを作る唯一の方法です。


次に取るべきアクション

もし今、SaaSの導入を検討しているなら、まずこれを自問してください。

「この業務は、汎用的なツールで本当に回るのか?」

もし「自社固有のやり方」があるなら、SaaSではなくオリジナルを検討すべきです。


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