「なんとなく」で回っている業務の見つけ方—社長が見落とす3つのサイン
属人化・曖昧・例外だらけの業務を、システム化の前に発見する

概要
「うちの業務はちゃんと回っている」——社長の多くはそう思っています。でも、よく見ると「なんとなく」で回っている業務が必ずあります。担当者の経験と勘に頼っている。ルールが曖昧で、人によってやり方が違う。こうした業務にシステムを入れても、失敗します。この記事では、「なんとなく業務」を発見するための3つのサインをお伝えします。
「なんとなく」で回っている業務の危険性
「なんとなく」で回っている業務は、一見すると問題がないように見えます。
- クレームは出ていない
- 大きなミスもない
- 毎日なんとかこなしている
でも、これは「問題がない」のではなく、**「問題が見えていない」**だけ。
実際には、こんなリスクを抱えています。
- 担当者が辞めたら、誰も引き継げない
- 忙しくなると、ミスや漏れが発生する
- 新人が入っても、教育に時間がかかる
- 品質がバラバラで、顧客満足度が安定しない
「なんとなく」は、時限爆弾です。
サイン①:「あの人に聞かないとわからない」がある
これが最も危険なサインです。
「その業務、どうやってるの?」→「○○さんに聞いてください」
この会話が出たら、赤信号。
その業務は「○○さんの頭の中」にしか存在していません。マニュアルもない、引き継ぎ資料もない。○○さんが休んだら止まるし、辞めたら終わり。
よくある言い訳
「○○さんは長いから、任せてる」 「○○さんが一番詳しいから」 「忙しくて、マニュアル作る暇がない」
これらは全部、属人化を放置する言い訳です。
発見するための質問
社長が現場を見るとき、この質問をしてください。
「○○さんが明日から1ヶ月休んだら、この業務は誰が代わりにできる?」
「誰もできない」「かなり厳しい」という答えが返ってきたら、その業務は属人化しています。
サイン②:「人によってやり方が違う」
同じ業務なのに、担当者によってやり方が違う。これも「なんとなく」のサインです。
たとえば、顧客対応。
- Aさんは丁寧に説明する
- Bさんは簡潔に済ませる
- Cさんは追加提案もする
どれが正解でしょうか?
答えは「わからない」。なぜなら、ルールが決まっていないから。
問題が表面化するタイミング
「人によって違う」は、普段は問題になりません。でも、こんなタイミングで表面化します。
- クレームが来たとき:「前の担当者はやってくれた」と言われる
- 新人が入ったとき:「誰のやり方を真似すればいいかわからない」
- 繁忙期:バラバラのやり方が、混乱を加速させる
発見するための質問
「この業務の『正解』は、どこに書いてある?」
「特に書いていない」「人によって違う」という答えが返ってきたら、ルールが曖昧です。
サイン③:「例外が多すぎる」
業務フローを聞いたとき、こんな言葉が頻発したら要注意。
- 「基本はこうだけど、○○の場合は違う」
- 「普通はこうするけど、△△さんのときは別」
- 「ケースバイケースで判断してる」
例外が多いのは、ルールが現実に合っていない証拠です。
例外が多い業務の末路
例外が多い業務は、システム化が難しい。なぜなら、システムは「ルール」で動くから。
「ケースバイケース」をシステムに落とし込もうとすると、こうなります。
- 条件分岐が複雑になりすぎる
- 作っても「使えない」と言われる
- 結局、手作業に戻る
発見するための質問
「この業務で『いつもと違う対応』をするのは、月に何回くらい?」
「毎日のようにある」「半分くらいは例外」という答えが返ってきたら、そもそもルール自体を見直す必要があります。
3つのサインをまとめると
| サイン | 症状 | 本質的な問題 |
|---|---|---|
| ①あの人に聞かないと | 担当者依存 | 知識が共有されていない |
| ②人によってやり方が違う | バラバラな対応 | ルールが明文化されていない |
| ③例外が多すぎる | ケースバイケース | ルールが現実に合っていない |
この3つが1つでも当てはまる業務は、システム化の前に「仕組み化」が必要です。
「なんとなく」を潰す3ステップ
サインを発見したら、次のステップで「なんとなく」を潰していきます。
ステップ1:書き出す
まず、業務を紙に書き出す。
- 誰が
- いつ
- 何を
- どうやっているか
「頭の中にあるもの」を「紙の上」に出す。これだけで、曖昧さが見えてきます。
ステップ2:統一する
書き出したら、「正解」を決める。
- この業務は、このやり方でやる
- 例外はこの3パターンだけ
- それ以外は上長に確認する
全員が同じやり方をするように、ルールを統一します。
ステップ3:仕組みにする
ルールが決まったら、仕組みにする。
- マニュアルを作る
- チェックリストを作る
- テンプレートを作る
ここまでやって初めて、システム化の準備が整います。
実例:「なんとなく」を潰してからシステム化した会社
ある整体院の例です。
Before:なんとなく状態
- 予約対応は、受付スタッフ3人が交代で担当
- Aさんはスプレッドシートに入力、Bさんは紙のメモ、Cさんはスマホのメモアプリ
- 予約確認の連絡は「気づいた人がやる」ルール
- 週に1回くらい、予約漏れやダブルブッキングが発生
仕組み化のプロセス
- 書き出し:予約対応の全手順を、誰が見てもわかるように書き出した
- 統一:全員が「スプレッドシートに入力」「確認連絡は予約受付者が責任を持つ」に統一
- 仕組み化:予約受付のチェックリストを作成、壁に貼った
After:システム化
仕組みが整った段階で、予約管理システムを導入。
- ウェブから予約が入ると、自動でスプレッドシートに反映
- 施術者にLINEで自動通知
- 前日にリマインドが自動送信
- ダブルブッキングはシステムが自動でブロック
結果:予約漏れゼロ、受付スタッフの負担50%減
よくある失敗:仕組み化せずにシステムを入れる
逆のパターンも紹介します。
ある会社が、「なんとなく」のままシステムを導入しました。
結果
- 「システムの入力が面倒」と現場が使わなくなる
- 「前のやり方の方が早い」とスプレッドシートに戻る
- 導入費用だけかかって、何も変わらない
システムは、仕組みを「強化」するもの。仕組みがないところにシステムを入れても、意味がない。
まとめ:システム化の前に、3つのサインをチェックせよ
システム化を検討するとき、まずこの3つをチェックしてください。
- 「あの人に聞かないとわからない」業務はないか?
- 「人によってやり方が違う」業務はないか?
- 「例外が多すぎる」業務はないか?
1つでも当てはまったら、システム化の前に仕組み化が必要です。
「なんとなく」を潰してから、システムを入れる。
この順序を守れば、システム導入の成功率は劇的に上がります。
次に取るべきアクション
今日できることは、これです。
社内を歩いて、「この業務、どうやってるの?」と3人に聞く。
「○○さんに聞いてください」「人によって違います」「ケースバイケースです」
この答えが返ってきた業務が、あなたの会社の「なんとなく業務」です。
株式会社IIWAYO|伴走CTO 社長の思考を、収益を生む仕組みに変える。