1,800万円の脱毛サロン失敗から、全国350店舗導入の「レミラ」へ。失敗を"事業モデル"に変えた逆転の発想
1,800万円の負債を全国350店舗導入のサブスク事業へ転換した、逆転の経営戦略

「失敗は成功のもと」——よく聞く言葉ですが、本当にそうでしょうか。
少なくとも私にとっては、1,800万円の負債を抱えた時、そんな綺麗事は1ミリも頭に浮かびませんでした。
「人生、詰んだかもしれない」
それが偽らざる本音でした。
しかし今、振り返ってみると、あの失敗がなければ今の事業は存在しませんでした。
これは、脱毛サロンの失敗から生まれた業務用脱毛機「レミラ」が、美容室・理容室専用のサブスクリプションサービスとして全国350台以上の導入を実現し、東証プライム上場企業からの出資を獲得するまでの実話です。
失敗を「事業モデルそのもの」に変えた逆転の発想を、包み隠さずお伝えします。
第1章:すべての始まり ── 自分自身のコンプレックスから

物語の始まりは、意外にも個人的な悩みからでした。
2017年、私は自分の体毛にコンプレックスを感じ、脱毛サロンに通い始めました。実際に施術を受けてみると、その効果に驚き、同時に「これはビジネスになる」という直感が芽生えました。
当時、私はすでに株式会社ディルウィングス(後に株式会社日本中古計測器に社名変更)で研究用中古計測機器のリユース事業を経営しており、起業の経験はありました。2013年に設立したこの会社はECサイトの構築・運営から仕入れ・販売のオペレーション設計まで、一人で構築して軌道に乗せた事業です。
並行して、2014年には株式会社リサスティーの前身となる会社も設立していました。「新しい事業の柱を作りたい」——そんな思いは常にありました。
脱毛ビジネスに可能性を感じた私は、2019年10月、新宿に脱毛サロンをオープンしました。
立地の選定、内装デザイン、脱毛機の選定、スタッフの採用——すべてを自分で進めました。ディルウィングスで培った起業のノウハウがあったため、開業の手続き自体はスムーズでした。
しかし、投資額は決して小さくありませんでした。
店舗改装費に900万円。業務用脱毛機3台の導入に700万円。その他の備品や広告費を含めると、合計1,800万円の投資です。
それでも、当時の私は「これは確実にいける」と確信していました。脱毛市場は年々拡大している。立地も新宿という好条件。自分自身が脱毛の効果を実感しているから、お客様にも自信を持って勧められる。
その確信が、わずか数ヶ月後に砕け散ることになります。
第2章:コロナ禍の直撃 ── わずか4ヶ月で閉店

開業からわずか数ヶ月後、世界を激変させる出来事が起きました。
新型コロナウイルスの感染拡大です。
緊急事態宣言の発出により、予約のキャンセルが相次ぎ、新規集客は完全にストップ。脱毛サロンという業態は「不要不急」の代表格として、真っ先に打撃を受けました。
家賃、人件費、リース料——固定費は容赦なく流れ続けます。
開業からわずか4ヶ月。私は脱毛サロンの閉店を決断しました。
残ったのは、1,800万円の負債だけでした。
正直に言えば、「もうダメかもしれない」と何度も思いました。すでにリユース事業の運営もありましたが、1,800万円の追加負債は決して軽いものではありません。夜中に目が覚めて、天井を見つめながら「どうすればこの借金を返せるのか」と計算する日が続きました。
脱毛機のリース代、店舗の原状回復費、違約金——閉店したからといって、支払いがなくなるわけではありません。むしろ、売上ゼロの状態で支払いだけが続くという、最悪のキャッシュフローです。
周囲には「コロナだから仕方ない」と言ってくれる人もいました。しかし、経営者として「仕方ない」で済ませるわけにはいきません。1,800万円は返さなければならないお金です。
しかし、この「最悪の経験」が、後に私の最大の武器になるとは、この時の私には想像もつきませんでした。
第3章:失敗の中から見えた「本当の問題」

脱毛サロンを閉めた後、私はずっと考えていました。
「なぜ失敗したのか?」
コロナがなければ成功していたのか?——いや、それだけではないはずです。
冷静に振り返ると、問題の本質は「初期投資リスクの大きさ」にありました。
1,800万円もの初期投資をして、それが回収できなかった。脱毛機1台あたり約230万円。3台で700万円。これに店舗の改装費が加わる。事業が軌道に乗る前に、すでに巨額の負債を抱えている状態です。
そして気づいたのは、この構造は私だけの問題ではないということでした。
業務用脱毛機の業界を見渡すと、「売って終わり」のビジネスモデルが当たり前でした。メーカーや販売店は、機器を1台数百万円で売り切る。買い手がその後どうなろうと、売り手には関係ない。店が潰れようが、売上が立たなかろうが、販売店はすでに代金を受け取っています。
「この商売がどうしても正しいと思えなかった」
これは私の本音です。売り手側も、買い手と同様にリスクを背負い、補い合う必要があるのではないか。
1,800万円の失敗は、「リスクを売り手も共有するビジネスモデル」の必要性を、身をもって教えてくれました。
第4章:「レミラ」の誕生 ── 業界の常識を覆すサブスクモデル

「どうしたら、できる限りリスクなく新規サービスを開始できるのか」
この問いに対する答えが、美容室・理容室専用の業務用脱毛機「REMILA(レミラ)」です。
2021年、株式会社リサスティーに社名を変更し、レミラのサブスクリプション型レンタルサービスを本格始動しました。
レミラのビジネスモデルは、業界の常識を根底から覆すものでした。
まず、初期費用が完全にゼロです。配送料も無料。ハンドル2本も無料で付属。月額39,800円(税込43,780円)の固定料金だけで始められます。契約期間の縛りもありません。いつでも解約できる。修理費も永久無料。研修やサポートも永久無料。
2025年4月からは、業界初の「3ヶ月返金保証」まで追加しました。つまり、3ヶ月使ってみて「うちには合わない」と判断すれば、支払った月額料金が返金されるのです。
ここまでやるのは、正直言って、メーカー側に大きなリスクがあります。
レミラの本体製造原価は約50万円。これを無料で貸し出して、月額39,800円で回収する。原価回収だけで約13ヶ月かかります。もし半年で解約されれば、赤字です。3ヶ月返金保証を使われれば、機器の原価50万円がまるまる損失になります。
業界の人間からは「正気か?」と言われたこともあります。「初期費用で数百万円もらって、売り切りにした方がよっぽど儲かるだろう」と。確かに、短期的な収益で考えればそのとおりです。
しかし、私には1,800万円の失敗体験があります。初期費用で苦しんだのは自分自身です。お客様に同じ思いをさせたくなかったのです。
さらに、初期投資として約1億5,000万円を投じて機器を大量に調達しました。このお金は、もう一つの会社であるディルウィングスのリユース事業の利益から捻出しました。ディルウィングスで稼いだお金を、リサスティーのレミラ事業に注ぎ込む。2つの会社を使って、新しい事業の土台を作ったのです。
しかし、だからこそこのモデルには意味があります。
「良いサービスだと感じてもらえなければ、継続してもらえない。そうなれば、私たちが損をする」
メーカーと導入店舗の利害が完全に一致する。導入店舗が儲かれば、長く使い続けてくれる。長く使い続けてくれれば、私たちも儲かる。「一緒に成功しよう」という構造です。
これが、1,800万円の失敗から生まれたレミラのビジネスモデルの核心です。
第5章:ヘアサロン専用への転換 ── 倒産危機からの学び

レミラのサービスは2021年6月に正式にスタートしました。南青山の有名美容室が初期導入を決定し、幸先の良い船出でした。
しかし、順調に見えた事業は、再び大きな壁にぶつかります。
「初期費用無料・サブスク制」という条件が話題を呼び、営業社員が経営者交流会などで次々と契約を獲得してきました。問題は、その契約先がエステサロンや新規開業の脱毛サロンに偏っていたことです。
一時は契約数が増えて喜んだのですが、これが大きな落とし穴となりました。
新規開業のエステサロンや脱毛サロンでは、月額料金の未払いが頻発しました。さらに深刻だったのは、機器の持ち逃げです。店舗が突然閉鎖され、連絡が取れなくなるケース。機器を転売しようとするケース。数十万円の機器が「消える」のです。
2022年9月、ディルウィングスとリサスティーを合わせた資金が2,000万円まで減少しました。
倒産の危機です。
2つの会社を合わせて2,000万円。月々の固定費を考えると、数ヶ月で資金がショートする計算です。脱毛サロンの1,800万円の失敗に続き、今度はレミラ事業でも致命的な危機に陥りました。
「1,800万円の失敗を活かしたはずなのに、また同じことを繰り返しているのか」
自分を責めました。しかし、よく考えると、今回の失敗と前回の失敗は構造が違います。前回は「初期投資リスク」の問題。今回は「顧客選定」の問題です。ビジネスモデル自体は間違っていない。ターゲットが間違っていたのです。
「このままでは、両方の会社が潰れる」
追い詰められた私を救ったのは、ある人との出会いでした。津村佳宏氏——元アデランスの代表取締役社長で、現在はRAIBY代表を務める業界の重鎮です。
津村氏から受けたアドバイスは明確でした。美容室・理容室に特化せよ、と。
エステサロンや脱毛サロンへの展開を完全にやめ、ヘアサロン(美容室・理容室)専用にシフトする。この決断が、レミラの運命を大きく変えました。
なぜヘアサロン専用なのか。理由はいくつかあります。
まず、美容室・理容室は日本全国に37万店以上あります。美容室が約26万店、理容室が約11万店。これはコンビニエンスストアの5万7千店をはるかに上回る数です。にもかかわらず、脱毛メニューを導入している店舗はほとんどありませんでした。ブルーオーシャンです。
しかも、美容室・理容室のオーナーは長年同じ場所で営業しているケースがほとんどです。開業して数ヶ月で閉店するエステサロンとは、経営の安定度がまるで違います。月額39,800円の支払いも、安定した経営基盤があるヘアサロンなら問題なく継続できます。
次に、うなじ脱毛の法的な問題です。脱毛サロンやエステサロンでうなじ脱毛を行う場合、髪の毛に触れるため、美容師法・理容師法に抵触する可能性がありました。つまり、美容師免許・理容師免許を持つヘアサロンだからこそ、合法的にうなじ部分の施術ができるのです。
そして何より、ヘアサロンは既存の顧客基盤があります。新規集客の必要がほとんどない。既存のお客様に「ついでに」提案できる。これはエステサロンや脱毛サロンにはない圧倒的な強みでした。
さらに、レミラ独自の価値提案として「ネープケア」というコンセプトを打ち出しました。
ネープケアとは、ネープ(うなじ・襟足部分)のデザインをして、そこにレミラを照射することで減毛していく施術のことです。リサスティーが創った言葉であり、商標出願も行いました。
ネープケアの画期的な点は、これが単なる「脱毛」ではなく「ヘアデザインの一部」として位置づけられることです。美容師がカットやカラーの施術中に、わずか3〜5分でネープケアの施術ができる。お客様にとっては「後ろ姿まで美しく仕上がる」という新しい価値。サロンにとっては、3分の施術で4,000円の追加売上。小顔効果や首を長く見せる印象を与え、清潔感のあるスタイルへと導きます。
ヘアサロン専用への転換は、レミラを単なる「脱毛機レンタル」から「美容室の新しい収益モデル」へと進化させました。
第6章:口コミで広がるレミラ ── 業界からの評価

ヘアサロン専用モデルへの転換後、レミラは着実に成長を遂げました。
マシン自体のスペックも、ヘアサロンでの利用に最適化しています。レミラはSHR(Super Hair Removal)方式を採用し、日本人の肌のために開発された独自のパワーレベルを搭載。最新式のIPL、SHR、そしてレミラフォトモード(美肌フォト機能)を備えた国内最高峰のハイスペック仕様です。照射部分には最高級サファイアクリスタルを採用し、マイナス10度まで冷却可能。これにより痛みを最小限に抑えながら、高い効果を実現しています。
そして成長を支えたのは、徹底した口コミ戦略です。
レミラは、余分な広告費をかけません。口コミ中心で事業を拡大しています。広告費を抑えることで、初期費用無料・月額固定というサービスを維持できている。つまり、「良いサービスだから紹介される→紹介されるから広告費が不要→広告費が不要だから安い→安いから導入しやすい→導入しやすいから口コミが広がる」という好循環を作っています。
導入店舗では、月の売上が30万円〜200万円アップしたという実績が多数生まれました。特にネープケアは、3分の施術で4,000円の収益を生むため、既存メニューとの組み合わせで効率的に客単価を向上させることができます。
業界からの評価も急速に高まりました。
月刊BOBなど美容業界の専門誌に連続掲載。10月号、11月号、12月号、1月号と4号連続で取り上げていただきました。業界紙に掲載されるということは、プロの美容師から「注目に値するサービス」と認められた証です。
さらに、美容業界の著名人にもレミラの価値が認められました。
おぐねぇー(小椋ケンイチ)氏が公式アンバサダーに就任。テレビでもおなじみのヘアメイクアーティストがレミラを推薦してくださったことで、業界内の認知度は一気に跳ね上がりました。
元アデランス代表取締役社長の津村佳宏氏からは、事業アドバイスだけでなく、業界のネットワークの紹介もいただきました。山野愛子美容室(16店舗)への導入実績など、大手サロンチェーンとの取引も拡大していきました。
ヘアキャンプでのライブセミナーの開催や、有名トップスタイリストたちの推薦も重なり、導入台数は2024年時点で全国350台を超えました。
2025年には最新機種「REMILA elite(レミラ エリート)」も発表。従来機種から約27%の小型化を実現し、限られたスペースでも設置しやすくなりました。さらには、世界初のバックスタイルヘアコンテスト「REMILA BHC 2026」を主催するなど、業界のリーダーとしての活動も本格化しています。
専門のカスタマーサクセスチームによる導入後のフォロー体制も、他社との大きな差別化ポイントです。研修は1〜2時間で完了し、メニュープランや活用方法の提案、動画教材の提供など、導入店舗の成功を一緒に作り上げていく体制を整えています。
レミラのマシンはレンタルである以上、レンタル期間中は永久に機器保証の対象です。精密機械である脱毛機は個体差があり、不具合が起きる可能性もゼロではありません。しかし、自然故障については全て弊社が責任を持って無償で修理・交換します。「使い続ける限り、安心して使える」——これもサブスクモデルだからこそ実現できるメリットです。
第7章:プライム上場企業からの出資、そして会社売却

レミラの成長に伴い、2024年10月、大きな転機が訪れました。
プロ向け美容商材EC最大手の株式会社ビューティガレージ(東証プライム上場)から、株式会社リサスティーへの出資および業務提携の話が持ち上がったのです。
ビューティガレージは、全国68万以上のサロンとの取引実績を持つ業界最大手のプラットフォーム企業です。この出資を受けたことで、リサスティーの経営基盤は大幅に強化されました。
ここで誤解のないように明確にしておきます。ビューティガレージに会社を売却したわけではありません。出資を受けましたが、株式会社リサスティーの代表取締役は引き続き私が務めており、株式も90%以上を保有しています。あくまでも資本業務提携であり、リサスティーとレミラ事業の経営権は私にあります。
このパートナーシップにより、ビューティガレージが持つ全国68万サロンとの販売チャネルを活用したレミラの展開が可能となり、全国規模での成長が加速する見込みが立ちました。プライム上場企業が出資しているという事実は、導入を検討するサロンオーナーにとっても大きな安心材料です。
そして2025年2月、もう一つの大きな決断をしました。
株式会社ディルウィングス(株式会社日本中古計測器)の事業売却(EXIT)です。
2013年に設立し、約12年間育ててきた研究用中古計測機器のリユース事業。ECサイトの構築から仕入れ・販売のオペレーション設計まで一人で作り上げ、軌道に乗せた思い入れのある事業でした。
買い手は非上場のオーナー企業です。条件面で合意し、事業売却は無事に完了しました。
そしてここからが、この物語の「オチ」です。
売却で得た資金のほとんど全額を、株式会社リサスティーで背負っていた借入金の返済に充てました。
はい、そうです。12年間必死に育てた会社を売って得たお金は、右から左に流れて借金返済に消えました。
リサスティーは、レミラの立ち上げに際して約1億5,000万円の初期投資を行っています。サブスクモデルという性質上、月額39,800円を積み上げて回収するため、時間がかかる。その間の資金を支えていたのは、ディルウィングスからの融資でした。さらに、2022年の倒産危機を乗り越えるためにも追加の資金が必要でした。
つまり、ディルウィングスの利益でレミラを育て、ディルウィングスを売った金でレミラの借金を返した。12年間の事業の集大成が、別の事業の借金返済に消えていく——文字にすると、なんとも言えない気持ちになります。
「会社を売却してEXITしました!」と言うと華々しく聞こえますが、実態は借金の返済です。Twitterでよく見る「EXIT成功!次のステージへ!」みたいなキラキラした話とは、だいぶ違います。
でも、これで良かったと思っています。
リサスティーの借入金がほぼゼロになったことで、レミラ事業の財務基盤は健全になりました。ビューティガレージからの出資と合わせて、これからの成長に全力で投資できる状態が整ったのです。
第8章:失敗を「事業モデル」に変えるということ

ここまでの話をまとめると、こうなります。
2019年:脱毛サロンに1,800万円投資して失敗 2021年:その失敗から「リスクを共有する」レミラのサブスクモデルを構築 2022年:エステ・脱毛サロンへの展開で未払い・持ち逃げが多発し、倒産危機 2024年:ヘアサロン専用に転換し、プライム上場企業から出資を獲得 2025年:12年間育てた会社を売却し、レミラ事業の借入金を完済
華々しいサクセスストーリーではありません。失敗と危機の連続です。
しかし、そのすべてがレミラという事業の「強さ」を作っています。
1,800万円の失敗がなければ、「初期費用ゼロ」というモデルは生まれなかった。 エステサロンでの未払い地獄がなければ、「ヘアサロン専用」という判断はなかった。 倒産危機がなければ、津村氏との出会いも、ビジネスモデルの根本的な見直しもなかった。
失敗を「単なる損失」で終わらせるか、「事業モデルの礎」にするか。その違いは、失敗から何を学び、次のアクションにどう反映させるかにかかっています。
レミラの場合、「自分が味わった痛みを、お客様にさせない」という一点に集約されました。
初期費用で苦しんだから、初期費用をゼロにした。 契約の縛りで身動きが取れなくなったから、契約期間の縛りをなくした。 修理費の負担で経営が圧迫されたから、修理費を永久無料にした。 信頼できないターゲットに売って痛い目を見たから、信頼できるヘアサロンだけに絞った。 「売って終わり」の商売に失望したから、「一緒に儲かる」モデルを設計した。
すべて、自分が「されて嫌だったこと」「やって失敗したこと」の裏返しです。
よく「失敗は成功のもと」と言いますが、より正確に言えば「失敗の構造分析が、成功モデルの設計図になる」ということだと思います。失敗をただ「辛かった」で終わらせたら、それは単なる損失です。「なぜ失敗したのか」「その構造を逆にしたら何が生まれるか」まで考えて初めて、失敗が資産に変わる。
レミラのビジネスモデルは、私の失敗の集大成です。だからこそ、お客様に対して自信を持って「リスクはありません」と言い切れます。自分がそのリスクを全部経験してきたから。
第9章:「どこでも美容ができる社会」へ

レミラ事業は現在、大きな転換点にあります。
ビューティガレージとの資本業務提携、借入金の完済、導入台数350台超の実績。
直近の目標は、3年以内に導入3,000台を達成すること。これは全国の理美容室の約1%に相当します。月平均で約75台の新規契約獲得が必要な、チャレンジングな目標です。
しかし、この目標は決して夢物語ではありません。ビューティガレージの68万サロンとの販売ネットワーク、口コミによる自律的な拡大、そして何より「使い続ける理由がある」サービスとしての実績がそれを裏付けています。
長期的なビジョンは、「どこでも美容ができる社会」の実現です。
レミラは脱毛機ですが、私たちが作りたいのは「脱毛の会社」ではありません。美容室・理容室が、カット・カラー以外の新しい収益源を持ち、経営を安定させ、お客様により多くの美容体験を提供できる——そんな世界を作りたいのです。
ネープケアに始まり、フェイシャル、美肌ケアなど、美容室だからこそ提供できるサービスの可能性は無限大です。
おわりに ── 失敗した人へ
最後に、今まさに事業で苦しんでいる人に伝えたいことがあります。
私は、高校時代に100万円の追徴課税を受け、大学時代には250万円の借金を背負い、脱毛サロンで1,800万円の負債を作り、2022年には倒産寸前まで追い込まれました。
それでも、今こうして事業を続けています。
失敗は確かに痛い。お金も失うし、時間も失うし、信用も傷つく。眠れない夜もあるし、「もうやめたい」と思う瞬間は何度もある。
でも、失敗には必ず「構造」があります。
なぜ失敗したのか。どこで判断を誤ったのか。何が見えていなかったのか。その構造を理解できれば、同じ構造で「成功するモデル」を設計できます。
レミラがその証拠です。
1,800万円の失敗の構造は「初期投資リスクの偏り」でした。だから、リスクを分散するモデルを作った。 未払い・持ち逃げの失敗の構造は「ターゲット選定の甘さ」でした。だから、ヘアサロン専用に絞った。 倒産危機の構造は「一つの失敗が全事業に波及するリスク管理の甘さ」でした。だから、事業を整理して財務を健全化した。
失敗そのものではなく、失敗の構造に目を向けてください。
そこに、あなたの次の事業のヒントがあるはずです。
伊藤翔太 株式会社IIWAYO.TECH 代表取締役 / 株式会社リサスティー 代表取締役 慶應義塾大学総合政策学部卒。大和総研グループを経て独立。12年以上の経営経験の中で、事業売却(M&A)やプライム上場企業からの資金調達を経験。自身のシステム開発の失敗(3,000万円の損失)と成功体験を基に、伴走型CTOサービス「BANSO CTO」と高速プロトタイプ開発「ソクアプ」を展開。AI開発プラットフォームで700万行以上のコード生成実績を持つ。
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参考文献
この記事の作成にあたり、以下の情報源を参考にしました。