コア業務に集中できていない67.3%の社員—サブ業務を消すシステム設計
雑務に埋もれる現場を、システムで救う方法

概要
「社員がコア業務に集中できていない」——多くの社長が感じているこの問題には、数字の裏付けがあります。BPOテクノロジーの調査によれば、67.3%の会社員が「サブ業務によってコア業務の時間が削られている」と回答しています。つまり、3人に2人が雑務に埋もれている。この記事では、サブ業務を消すシステム設計の考え方をお伝えします。
67.3%という数字の意味
BPOテクノロジーが実施した「会社員の業務実態調査」の結果です。
67.3%の会社員が、サブ業務によってコア業務の時間が削られていると回答
この数字を、社長の立場で考えてみてください。
- 10人の社員がいれば、7人がコア業務に集中できていない
- 給与の3分の2近くが、「本来やるべきこと以外」に消えている
- 生産性向上の余地が、ここに眠っている
サブ業務を減らせば、それだけでコア業務の時間が増える。
当たり前の話ですが、多くの企業でこれができていません。
「コア業務」と「サブ業務」とは何か
まず、定義を明確にします。
コア業務
会社の価値を生み出す、本質的な業務。
- 顧客への提案・商談
- 製品・サービスの開発
- 施術・施工などの専門スキル
- 戦略立案・意思決定
これらが増えれば、売上・利益が伸びる。
サブ業務
コア業務を支えるための、付随的な業務。
- 日報・報告書の作成
- データ入力・転記
- スケジュール調整
- メールの振り分け・返信
- 資料の印刷・ファイリング
- 経費精算
これらは必要だが、それ自体は価値を生まない。
なぜサブ業務が増えるのか
サブ業務が増える原因は、大きく3つあります。
原因①:システムが分断している
よくあるのが、こんな状況。
- 顧客情報はスプレッドシートに
- 売上データは会計ソフトに
- スケジュールはGoogleカレンダーに
- コミュニケーションはLINEに
それぞれのツールが連携していないから、人が「橋渡し」をしなければならない。
データを転記する、ファイルを移動する、情報を伝達する——これがサブ業務の正体です。
原因②:確認・承認のフローが多い
「念のため確認」「上長の承認」が多いと、サブ業務が増えます。
もちろん、チェック体制は必要。でも、本当に必要なチェックと、惰性でやっているチェックを区別できていない企業が多い。
結果、チェックのためのチェック、確認のための確認が発生する。
原因③:「手作業」がデフォルトになっている
「昔からこうやっている」という理由で、手作業が続いている業務。
- 毎日同じデータを手入力している
- 毎週同じフォーマットでレポートを作っている
- 毎月同じ作業を繰り返している
これらは、システム化すれば自動化できる業務です。
でも、「ずっとこうだったから」という理由で、手作業が温存されている。
サブ業務を消す3つのシステム設計原則
サブ業務を減らすシステム設計には、3つの原則があります。
原則①:入力は1回だけ
同じ情報を、複数の場所に入力させない。
ダメな例:
- 予約を受けたら、スプレッドシートに入力
- 同じ内容を、施術者へのLINEにも書く
- さらに、日報にも書く
良い例:
- 予約を受けたら、システムに1回入力
- 施術者への通知は自動で飛ぶ
- 日報にも自動で反映される
「一度入力したら、あとは自動で流れる」設計。
これだけで、サブ業務は大幅に減ります。
原則②:例外だけ人が対応
すべてを人がやる必要はありません。
定型的な処理はシステムが自動で行い、例外だけ人が対応する。
たとえば、顧客からの問い合わせ対応。
- よくある質問は、AIが自動回答
- AIの確度が80%未満のものだけ、人が確認
- クレームや複雑な問い合わせは、担当者にエスカレーション
「80%を自動化し、20%に人を集中させる」設計。
原則③:通知は必要な人に、必要なタイミングで
「念のため共有」が、サブ業務を増やします。
必要な人に、必要な情報を、必要なタイミングで届ける。
たとえば、承認フロー。
- 通常の申請は、自動承認
- 金額が○万円以上のときだけ、上長に通知
- 異常値を検知したときだけ、アラートを出す
「関係ない通知は来ない」設計。
これで、無駄な確認作業が減ります。
具体例:整体院のサブ業務を消す
ある整体院での実例を紹介します。
Before:サブ業務に埋もれる現場
施術者の1日を見てみましょう。
| 時間 | 内容 | 種別 |
|---|---|---|
| 9:00 | 出勤、予約確認 | サブ |
| 9:30 | 施術準備 | サブ |
| 10:00 | 施術(お客様A) | コア |
| 11:00 | カルテ入力 | サブ |
| 11:15 | 次回予約の電話 | サブ |
| 11:30 | 施術(お客様B) | コア |
| 12:30 | 昼休憩 | - |
| 13:30 | 施術(お客様C) | コア |
| 14:30 | LINEで予約対応 | サブ |
| 15:00 | 施術(お客様D) | コア |
| 16:00 | 日報作成 | サブ |
| 16:30 | ブログ執筆 | サブ |
| 17:30 | 清掃、退勤準備 | サブ |
コア業務(施術)は4時間、サブ業務は4時間以上。
施術者の時間の半分以上が、サブ業務に消えています。
After:システムでサブ業務を消す
システム導入後の1日。
| 時間 | 内容 | 種別 |
|---|---|---|
| 9:00 | 出勤(予約は前夜に自動通知済み) | - |
| 9:30 | 施術準備 | サブ |
| 10:00 | 施術(お客様A) | コア |
| 11:00 | 施術(お客様B)※カルテは音声入力で自動記録 | コア |
| 12:00 | 昼休憩 | - |
| 13:00 | 施術(お客様C) | コア |
| 14:00 | 施術(お客様D) | コア |
| 15:00 | 施術(お客様E) | コア |
| 16:00 | 施術(お客様F)※予約はウェブで自動受付 | コア |
| 17:00 | 退勤(日報・ブログはAIが自動生成) | - |
コア業務(施術)が6時間に増加。1日2件多く施術できる。
消したサブ業務
- 予約確認:前夜に自動通知、当日の確認不要
- カルテ入力:施術中の会話を録音→自動でカルテ化
- 予約対応:ウェブで24時間自動受付
- 日報作成:Googleカレンダーから自動生成
- ブログ執筆:施術中の会話からAIが自動生成
経営インパクトの試算
この整体院の例で、経営インパクトを試算してみます。
前提条件
- 施術者3名
- 施術単価:6,000円
- 月間営業日:25日
Before
- 1人あたり1日4件施術
- 月間施術数:4件 × 3人 × 25日 = 300件
- 月間売上:300件 × 6,000円 = 180万円
After
- 1人あたり1日6件施術
- 月間施術数:6件 × 3人 × 25日 = 450件
- 月間売上:450件 × 6,000円 = 270万円
月間売上が90万円増加。年間で1,080万円のインパクト。
人を増やさず、システムでサブ業務を消すだけで、これだけの効果が出ます。
サブ業務を消す優先順位の決め方
すべてのサブ業務を一度に消すのは、現実的ではありません。優先順位をつけましょう。
優先度の判断基準
| 基準 | 高優先 | 低優先 |
|---|---|---|
| 頻度 | 毎日発生 | 月1回 |
| 時間 | 1回30分以上 | 1回5分以下 |
| 難易度 | 単純作業 | 判断が必要 |
| 影響範囲 | 複数人が同じ作業 | 特定の人だけ |
「頻度が高く、時間がかかり、単純で、みんながやっている」業務から消す。
まとめ:サブ業務を消せば、コア業務が増える
67.3%の社員がコア業務に集中できていない。
この数字を改善する方法は、シンプルです。
サブ業務を、システムで消す。
- 入力は1回だけ
- 例外だけ人が対応
- 通知は必要な人に、必要なタイミングで
この3原則でシステムを設計すれば、社員はコア業務に集中できるようになります。
結果、生産性が上がり、売上が伸びる。
これが、システム化の本質的な価値です。
次に取るべきアクション
まずは、現場の1日を観察してください。
「この人は今日、何時間コア業務をやっていたか?」
その時間が少なければ少ないほど、システム化の余地があります。
株式会社IIWAYO|伴走CTO 社長の思考を、収益を生む仕組みに変える。