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発注ガイド

要件定義書が読めない問題は「動くもの」で潰せる

— 書類で合意しない。プロトタイプで“ズレ”を最短で消す

2026年1月4日伊藤翔太5分で読める
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要件定義書が読めない問題は「動くもの」で潰せる

概要

システム開発でよくある悲劇がこれです。

  • 要件定義書を見せられる
  • なんとなく「はい」と言う
  • 半年後、出来上がったものが“思ってたのと違う”
  • 改修地獄が始まる

社長が悪いわけではありません。
要件定義書は、発注側が理解しにくい表現で書かれがちだからです。

私(伊藤翔太)は、この問題を“書類の改善”で解決しようとはしません。
結論は、動くもの(プロトタイプ)を最速で出して、ズレを潰す。これです。


なぜ要件定義書は「分かりにくい」のか

1) 人間は文章より“体験”で理解する

「画面遷移」「入力」「例外」「通知」など、システムは体験の集合です。
文章で理解するのは、構造上ムリがある。

社長が求めているのはこういうことです。

  • その画面、現場は3秒で使えるのか?
  • 例外が出たとき、誰が何を見るのか?
  • 抜け漏れをどう防ぐのか?
  • “手間が増える”ポイントはどこか?

これ、文章だと見えません。
実際に触ると、一発で分かります。

2) 発注側の想像と、開発側の解釈がズレる

社長は「これぐらい当然できる」と思っている。
開発側は「そこは要件に書いてない」と解釈する。

このズレが一番高くつきます。
そしてズレは、納品後に発覚するほど修正コストが上がります。


「動くもの」で潰すとはどういうことか

要件定義書を捨てる、という話ではありません。
要件定義書は作る。残す。納品もする。

ただし、合意の中心を“書類”に置かない。

合意の中心を「動くもの」に置く
→ だから、ズレが最小になる
→ 現場導入がスムーズになる
→ 改修地獄を避けられる


私がやる進め方(30〜60分 → 3日 → 1〜2ヶ月)

株式会社IIWAYO(2026年1月設立)の基本スタイルはこうです。

1) 30〜60分の面談で聞くのは「機能」より「成果」

私が最初に聞くのは、画面や機能ではありません。

  • 最終ゴールは何か(売上・利益・組織・Exit)
  • 何ができれば事業が伸びるか
  • 現場の詰まりはどこか
  • 現在使っているツールは何か(スプレッドシート/フォーム/チャット等)
  • 絶対に変えたくないルールは何か

これが揃うと、プロトタイプが作れます。

2) 3日以内に「だいたいこういう感じ」を出す

ここで重要なのは完成度ではなく、認識合わせの速度です。

  • 画面の流れ
  • 役割(社長/店長/スタッフ)の違い
  • 通知の行き先
  • 入力の少なさ
  • 例外時の確認フロー

“触る”ことで、社長も現場も一気に腹落ちします。

3) 1〜2ヶ月で現場導入レベルまで磨く

システムは細部です。
本当に使えるかどうかは、細かい挙動が決めます。

  • 入力の必須を最小化する
  • 選択式・音声入力で迷わせない
  • 例外時だけ責任者に飛ばす
  • 現場に「AI導入」と言わない(※これは別記事で詳しく書きます)

この“磨き”までやって、初めて導入が成功します。


「要件定義書が読めない」社長がやりがちな失敗3つ

失敗1:分からないのに「はい」と言う

分からないことを認めるのは悪いことじゃありません。
ただ、分からないまま進むと、後で必ず痛い目にあいます。

失敗2:現場を巻き込まずに進める

社長だけで合意すると、現場導線が死にます。
だから私は、早い段階で現場の人の声を取りにいきます(短時間で十分)。

失敗3:「完成=導入」と勘違いする

現場が回るには、運用設計が必要です。
“作った”だけでは回りません。


じゃあ社長は何を準備すればいいのか?

難しい準備はいりません。
まずはこれだけでOKです。

A4一枚の棚卸しテンプレ

  • この業務は誰がやっているか?
  • いつ発生するか?
  • 何を入力しているか?
  • どこに記録しているか?
  • どこでミス/漏れが起きるか?

ここが見えると、プロトタイプは一気に早くなります。


私の結論:書類で合意しない。体験で合意する。

要件定義書は、開発側の都合で必要な書類です。
社長にとって大事なのは、そこではありません。

  • 現場で使われるか
  • ミスが減るか
  • スピードが上がるか
  • 収益が伸びるか

そのために最短なのは、動くものです。


次回予告

次は「AI導入」と言った瞬間に失敗する理由と、
現場がAI頼りにならない運用設計について書きます。

“AIを見せない”は、単なるマーケティングではなく、
現場導入の成功率を上げるための設計思想です。